平成22年(2010)から令和1年(2019)まで10年間の過去問を完全分析します。
過去問全てをマスターして余裕で合格しましょう!
今回は「分析系問題」から「要因分析」についての第2回目(全7回)の記事になります。
要因分析は過去問10年間で51問中7問も出題されおり、一番遭遇確率が高い分類です。
(R1:第4問)古参社員が新規事業拡大に積極的なった要因100文字
について詳しく解説していきます。
「関連記事:事例Ⅰ要因分析 全7回」
第1回目:【過去問10年完全マスター 要因分析 令和1年第3問】
第3回目:【過去問10年完全マスター 要因分析 平成29年第1問】
第4回目:【過去問10年完全マスター 要因分析 平成28年第1問-設問1】
二次試験事例Ⅰ過去問全体像の確認(10年間の過去問)
事例Ⅰ(組織・人事含む)では10年間の過去問をみると51問が出題されています。
一回の二次試験では80分間で全5問を解くことが通常です。
10年分の過去問より問題を分類すると大きく3つのカテゴリーに分かれます。
- 分析系問題
- 推論系問題
- 助言系問題
割合としては分析系問題が多く、次に推論系問題、助言系問題と続きます。 詳しくは次の画像をご確認ください。


分析系問題:要因分析 令和1年事例Ⅰ第4問
【第4問:配点 20 点】
新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていた A 社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。
令和1年(2019年)の二次試験事例Ⅰ第4問では、事業領域を明確にしたことで、A社社員が新規事業に積極的になった要因を問われています。
この問題は分析系問題(要因分析)に分類されます。
中小企業診断協会からは次のような出題趣旨が発表されています。
第4問(配点 20 点)新規事業の営業力強化にとって必要な意識改革を実践する経営施策について、理解力・ 分析力を問う問題である。
令和1年(2019年)の二次試験事例Ⅰ過去問はこちら↓
分析系問題(要因分析)の特長と解答法
分析系問題(要因分析)の特長と解答法は以下の通りです。
・成功もしくは失敗した要因について問われている
・要因とは物事が生じた、主要な原因のことです(大辞林より)
・要因分析では基本的に複数の要因の特定を問われています
・問題に係る情報を与件文から拾い整理する
・整理された与件文情報(事実)から核となるキーワードを抽出する
・カギとなる情報(キーワード)を用い解答を導き出す
根拠となる事実の組合せから文書を作成し、解答することが合格率を上げるコツとなります。
分析系問題の要因分析は与件文にある適切な事実を抽出、整理し、述べることが最重要です。
あくまで中小企業診断士の二次試験の世界観では、ある情報の中から最善の答えを述べることが必要です。
主観は排除し試験に挑みましょう。
令和1年二次試験事例Ⅰ第4問の問題文・与件文からの関連情報抽出
令和1年(2019年)の二次試験事例Ⅰ第4問の問題文・与件文からは以下の関連情報が抽出できます。
・社員は古い営業体質を引きずっていた(問題文)
・事業領域を明確にしたことで社員の意識が変わった(問題文)
・A 社のこれまでの事業や技術力を客観的に見直し、時代にあった企業として再生していくことを目的に、経営コンサルタントに助言を求めながら、経営改革を本格化させた(第5段落)
・定年を目前にした高齢者を対象とした人員削減した(第6段落)
・人員削減の結果従業員の年齢が10歳程度も引き下がり、コストカットした部分を成果に応じて支払う賞与に回すことが可能になった(第6段落)
・自社のコアテクノロジーを「農作物の乾燥技術」と明確に位置づけ、それを社員に共有させることによって、葉たばこ乾燥機製造に代わる新規事業開発の体制強化を打ち出した(第7段落)

解答アプローチ
関連する情報から核となるキーワードを抽出します。今回は以下の情報がカギとなってきます。社員の意識改革が起きた背景には社長のドラスティックな判断も関係していそうです。
「要因抽出」
・定年目前社員のリストラを敢行した
・平均年齢が10歳低下した
・コストカット分を賞与に回すことが可能となった
・コアテクノロジーを客観的見直し、共有することで新規事業開発の体制強化を打ち出した
これらの情報をまとめると論点を2つに整理することができます。
- 古参社員を退職させたことで若返りが図られ、その分を賞与に回すことで士気を高めた
- コアテクノロジーを明確化し、戦略を打ち出したことで目指すべき方向性が分かった
令和1年(2019年)の二次試験事例Ⅰ第4問の解答としては上記2の情報(事実)を統合し、最終的にはこのような解答になります。
「解答例」
要因は①古参社員のリストラにて社員の若返りが図られ、かつ賞与を増資したことでロイヤリティが高まったこと②コアテクノロジーの明確化により、目指すべき方向性が分かり新規事業に打ち込むことができたこと。
98文字でした。
今回は社員の意識・風土が変化した背景にある要因についての問題でした。
組織の構造的な改革、社員の意識変化について着目するとよいといえます。
毎回問題は異なりますが、本質的に問われていること、答えるべき内容は同じです。 過去問を徹底してやることで、身体に解答パターンを染み込ませましょう。
ふつサランの紹介
外資系企業に転職後、精神論だけではこの先を生き抜いていけないと悟り、2011年から中小企業診断士の資格取得を目指し勉強を開始。二次試験は3回目の挑戦にして、ようやくコツを掴み合格。現在はサラリーマン兼業コンサルタントとして、企業経営のアドバイスを行っている。
【分析系の全体像はこちらの記事にまとめています】
コメント
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