この記事では
(H26:第3問)新事業の柱ができた結果、新たに生まれた組織管理上の課題は何か?100文字
について解説します。
この推論系問題シリーズは正解が与件文にはありません。
与件情報から可能性を予測し、自らの見解を含めて答えを探していくことになります。
そのため知識を引き出し、与件情報と掛け合わせること必要があります。
分析系問題と比べると少し難易度が上がります。
二次試験事例Ⅰ過去問を理解する(過去問2010-2019)
事例Ⅰ(組織・人事含む)では10年間の過去問をみると51問が出題されています。
一回の二次試験では80分間で全5問を解くことが通常です。
10年分の過去問より問題を分類すると大きく3つのカテゴリーに分かれます。
- 分析系問題
- 推論系問題
- 助言系問題
割合としては分析系問題が多く、次に推論系問題、助言系問題と続きます。 詳しくは次の画像をご確認ください。

【分析系の全体像はこちらの記事にまとめています】

推論系問題:経営課題推論系 平成26年事例Ⅰ 第3問
【第3問配点20点】
2度のターニング・ポイントを経て、A社は安定的成長を確保することができるようになった。新しい事業の柱ができた結果、A社にとって組織管理上の新たな課題が生じた。それは、どのような課題であると考えられるか。100 字以内で答えよ。
中小企業診断協会からは次のような出題趣旨が発表されています。
第 3 問(配点 20 点)
2 度のターニングポイントを経て研究開発型企業へと成長を遂げてきたA社が、事業領域の拡大に伴って、いかなる組織管理上の課題に直面することになったのかに関する分析力・課題発見力を問う問題である。
与件文からの分析をベースに、どのような課題が抽出されるのか?試されています。
推論系問題の特長と解答法
推論系問題の特長
・物事が生じた背景には何があったのかを読み解く
・アクションを起こした、もしくは起こさなかった理由を推測する
・与件文の事実からだけでは答えを出すことが難しい
・一次試験の知識を活用する
解答方法
・与件文から関連情報(事実)を拾い出す
・集めた情報と知識から問われている、理由・課題等を探る
・ポイントをキーワード化しつなぎ合わせることで記述化する
正しい関連情報を拾い集め、情報と情報を繋ぎ合わせて推論することが合格率を上げるコツとなります。
個人の主観は捨てつつも、知識を活用する必要があるのでそのバランス感覚を掴むまでは難しいと感じるかもしれません。
平成26年の二次試験事例Ⅰ第3問の問題文・与件文からの関連情報抽出
平成26年(2014年)の二次試験事例Ⅰ第3問の問題文・与件文からは以下の関連情報が抽出できます。
・2度のターニングポイントを経て安定期に入った(問題文)
・新しい事業の柱ができた結果、新たな組織上の課題が生じた(問題文)
・生産、研究開発を中心にした機能別組織(第2段落)
・研究開発部門は、新製品開発や新技術開発のほか~レーザー装置の開発・販売を行っている(第2段落)
・営業担当は1名(第2段落)
・社内で解決できない問題は、顧問の専門家にアドバイスを受けている(第10段落)
・5年前から工学博士号を持った人材を採用し社内に研究室を作った(第10段落)
・近年さらに院卒の博士号取得見込み者を採用予定(第10段落)
・必要な研究開発費を捻出することが重要な経営課題(第11段落)
・資金の大部分が公的助成金によって賄われている(第11段落)

解答アプローチ
関連する情報からなにがいえるのかを洞察する。So what?(だから何?)と自身に問いかけてみてください。
情報からの推論
・研究開発部門がレーザー装置の開発販売を行っている+営業担当は一人→営業組織が脆弱で開発部門にも負担がきている
・研究開発費の捻出が重要な経営課題→持続的な資金調達を行える体制が必要
以上の情報をまとめ解答を導き出します。
「解答例」
新たな課題は①会社規模は拡大しているが、営業人員は一人のためレーザー装置の販売を研究開発部門が担う必要があること②新規事業のために官公庁の助成金獲得を持続的に行うための専門部隊を設置することである。
100文字でした。
今回は研究開発型企業が陥りやすい、営業サイドの視点と事業の根源となる資金調達について問われていたと思います。実際にこのようなケースはよくあることなので、リアリティさを感じる内容でした。
今回は以上になります。
ふつサランの紹介
外資系企業に転職後、精神論だけではこの先を生き抜いていけないと悟り、2011年から中小企業診断士の資格取得を目指し勉強を開始。二次試験は3回目の挑戦にして、ようやくコツを掴み合格。現在はサラリーマン兼業経営コンサルタントを行い、2020年は副業で約30万円の収益を上げた。
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