二次試験過去問を平成22年(2010)から令和1年(2019)まで10年間の過去問を完全分析します。
今回は「分析系問題」から「要因分析」についての第6回目(全7回)の記事になります。
要因分析は過去問10年間で51問中7問も出題されおり、一番遭遇確率が高い分類です。
(H26:第4問)近年良品率が大幅に改善した要因は何か?100文字
について詳しく解説していきます。
「関連記事:事例Ⅰ要因分析 全7回」
第1回目:【過去問10年完全マスター:要因分析 令和1年第3問】
第2回目:【過去問10年完全マスター:要因分析 令和1年第4問】
第3回目:【過去問10年完全マスター:要因分析 平成29年第1問】
第4回目:【過去問10年完全マスター:要因分析 平成28年第1問-設問1】
二次試験事例Ⅰ過去問を理解する(過去問2010-2019)
事例Ⅰ(組織・人事含む)では10年間の過去問をみると51問が出題されています。
一回の二次試験では80分間で全5問を解くことが通常です。
10年分の過去問より問題を分類すると大きく3つのカテゴリーに分かれます。
- 分析系問題
- 推論系問題
- 助言系問題
割合としては分析系問題が多く、次に推論系問題、助言系問題と続きます。 詳しくは次の画像をご確認ください。


分析系問題:要因分析 平成26年事例Ⅰ 第4問
【第4問 配点 20 点】
A 社の主力製品である試験管の良品率は、製造設備を内製化した後、60%まで改善したが、その後しばらく大幅な改善は見られず横ばいで推移した。ところが近年、良品率が60%から90 %へと大幅に改善している。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。
平成26年(2014年)の二次試験事例Ⅰ第4問では、良品率が近年になって急激に改善した要因(成功要因)を問われています。
つまりこの問題は分析系問題(要因分析)に分類されます。
中小企業診断協会からは次のような出題趣旨が発表されています。
(第4問)A 社の現在の主力製品であるOEM製品の理化学分析用試験管の量産体制において、過去と比較して、近年その良品率が著しく改善されている理由に関する分析力・原因究明力を問う問題である。
過去の時点と現時点での生産体制の違いにヒントがありそうです。
平成26年(2014年)の二次試験事例Ⅰ過去問はこちら↓
分析系問題(要因分析)の特長と解答法
分析系問題(要因分析)の特長と解答法は以下の通りです。
・成功もしくは失敗・変化した要因について問われている
・要因とは物事が生じた、主要な原因のことです(大辞林より)
・要因分析では基本的に複数の要因の特定を問われています
・問題に係る情報を与件文から拾い整理する
・整理された与件文情報(事実)から核となるキーワードを抽出する
・カギとなる情報(キーワード)を用い解答を導き出す
根拠となる事実の組合せから文書を作成し、解答することが合格率を上げるコツとなります。
分析系問題の要因分析は与件文にある適切な事実を抽出、整理し、述べることが最重要です。
あくまで中小企業診断士の二次試験の世界観では、ある情報の中から最善の答えを述べることが必要です。
主観は排除し試験に挑みましょう。
平成26年の二次試験事例Ⅰ第4問の問題文・与件文からの関連情報抽出
平成26年(2014年)の二次試験事例Ⅰ第4問の問題文・与件文からは以下の関連情報が抽出できます。
今回は過去と現在の時間軸を意識して情報を整理すると良いでしょう。
・生産設備を内製化した後、期間を経て良品率が60%から90%まで改善した(問題文)
「現在」
・生産、研究開発を中心にした機能別組織(第2段落)
・研究開発部門には、研究室と開発室に計6名の社員が所属(第2段落)
・工学博士号をもつ社員もいる(第2段落)
・工学博士号をもった社員を5年ほど前から採用(第10段落)
・生産部門は近年昇進した中途採用者がそれぞれの課の課長を務めている(第2段落)
・社内に研究室を開設(第10段落)
・社内で解決できない技術的な問題は、顧問を務める関連分野の専門家である大学教授や研究機関の研究者からアドバイスを受けてきた(第10段落)
・近年、新たに大学院卒の博士号取得見込者を採用し、研究開発力強化に積極的に取り組んでいる(第10段落)
「現在情報から推測する過去」
・工学博士号を持った社員はいなかった
・生産部門の課長はプロパー社員が務めていた
・専門家とのコネクションを活用
・社内に研究室はなかった

解答アプローチ
関連する情報から核となるキーワードを抽出します。
今回は過去にはなく、現在整備された組織に関する情報がカギとなります。
「要因抽出」
・工学博士号を持つ社員を採用し研究室を開設→研究開発力の強化
・近年昇進した中途社員が生産部門の課長を務めた→人材が育ってきた
・専門機関との連携
以上情報(事実)をまとめることで解答にたどり着くことができます.
「解答例」
要因は①工学博士号を持つ社員を採用し研究室を開設したことで、自社の研究開発力を強化し②人材育成の結果、近年昇進した中途社員が生産部門の課長を務め③専門機関との連携を強化したことで、良品率が向上した。
99文字でした。
少し荒いまとめ方になりましたが、意味合いは通じるかと思います。
専門機関との連携についてはかねてより行っていましたが、以前よりも強化したということで認識しました。
ふつサランの紹介
外資系企業に転職後、精神論だけではこの先を生き抜いていけないと悟り、2011年から中小企業診断士の資格取得を目指し勉強を開始。二次試験は3回目の挑戦にして、ようやくコツを掴み合格。現在はサラリーマン兼業コンサルタントとして、企業経営のアドバイスを行っている。
【分析系の全体像はこちらの記事にまとめています】
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